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「それで?今回は何を作るんだ?」
「愚問だね。今日何月何日?」
「今日は2月12日だが…」
そこまで口にし、何かに気付いたように言葉を止める。
「もしかして」
「そう。今回はチョコを作りたいの!」
控える2日後のバレンタイン。
その日に、私は想い人にチョコをあげるんだ。
それが、私の小さな夢。
その後の事も、もちろん期待して。
「…ん?何その顔」
「いや…分かった」
一瞬表情の無くなった真菓。
聞いた時にはいつものクールな表情に戻っていて、何でも無いフリをされた。
とりあえず、今日の放課後に彼の家に行くことを了承してもらった。
はぁ、楽しみだ。
時間は過ぎて放課後。
「真菓。帰ろう?」
「ああ。じゃあな」
「おう」
帰り支度を終え、友達と話してた真菓に声をかければ、彼は友人に挨拶をしてカバンを担ぐ。
私と真菓が幼馴染であることは皆良く知っていて、今となっては茶化されるようなことも無くなった。
前は良く「付き合ってんのー?」とか「ラブラブじゃんー」とか散々言われたけど、無視しつづけたらいつの間にか言われなくなった。
今では、こうして並んで帰る事にも違和感を持たれない。
「…そういえば、どうして今日なんだ?バレンタインは明後日だろ」
「うん。だから、真菓に作り方教えてもらって、明日は自分で作ってみようと思ってね」
今回、私はチョコに特別な思いを込めるつもり。
だから、自分の力でじっくり作りたいんだ。
「ふぅん。…誰にあげんの?」
私は真菓の方を見る。
彼は前を見たまま聞いてきていた。
…やっぱり、気になるよね。
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