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「ヒミツ」
そんな彼に、私はもったいぶって教えない。
まだ誰にも言ってないし。
「は?別にいいだろ。協力してやるんだから」
「やだよ。恥ずかしいもん」
「じゃあ協力しないぞ」
「それはずるいよー!」
いくら真菓でも、それを言うのは抵抗がある。
この後何度か聞かれたけど、私は頑なに答えを拒否した。
「…まぁいい。その代わり、ちゃんとしたの作れよ?俺が教えるんだから」
「分かってるよ。そういう所プライド高いもんね」
真菓は基本的に温厚で中立な性格。
だけど、お菓子作りの事になると白黒つけたがるし、半端な出来のケーキとか直ぐ叩き潰しちゃうような人だ。
私が作ったものにも文句とかは言ってこないけど、やっぱり教える側としてプライドはあるみたいだし。
…一回だけ、半端な気持ちで作ってたら本気で怒られたこともある。
とりあえず、今日は材料の買出しからなのでスーパーに。
明日の分も一緒に買っておこうかな。
「チョコって何から作るの?カカオ?」
「まさか。板チョコを溶かすのが簡単。専用の売ってるから」
へぇ…。
って、私は何で男の子にチョコの事教わってるんだろう。
作ったことないにしても、バレンタインでチョコ渡したことくらいあるのに。
買い物カゴを持ち歩く姿を見るに、手馴れてるんだろうなと思う。
そんな彼に、つい甘えている自分に気付いた。
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