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第三章 崩れゆく日常
あれから、僕たちはたくさん話すようになり、知り合いから友達へと距離が縮まった。
僕は、まるで夢の中にいるような感覚で、毎日が楽しくてしょうがなかった。
そんなある日の授業中。 昼食後のけだるい空気で、うとうととしていた僕の耳に、バタンと人の倒れる音が響いた。
「咲良!!!」
前田優子が大きな声で叫び、ざわつく教室。
僕の目に咲良が倒れているのが映った。 すぐに先生が近づき、彼女に声をかけた。
「おい、宮園! 大丈夫か?!」
彼女は気を失っているらしく、反応がない。 先生は、倒れている彼女を抱き上げると、
「保健室へ運ぶ。 皆は、自習だ」
と、教室から出て行った。
さわがしくなった教室で、僕は呆然と立ち尽くしていた。 今何が起きたのか、すぐには理解できなった。
「今のびびったよな~」
前の席に座る、高志が声をかけてきた。
「陽汰? どうした?」
何の反応もしない僕に、高志は怪訝な顔をした。
それから少したった後、救急車のサイレンが近づいてきた。 僕はとてもいやな予感がし、気づいたら教室を飛び出していた。
「よ、陽汰?!」
後ろから高志の声が響いたが、僕は無我夢中で廊下を走り抜けていた。
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