第三章 崩れゆく日常

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 僕は、彼女がこのまま目を覚まさないんじゃないかと、不安になった。  がしばらくして、彼女は目を覚ました。 「ん……」  彼女の目がぼんやりと僕を見た。 「あれ……陽汰、なんでここに?」  僕はほっと安堵しながら答えた。 「倒れた日から、学校来なかったから、先生に聞いて……」 「……そっか。 ごめんね、心配かけて」  彼女は身体をベッドヘッドに預けながら、そうつぶやいた。  それから、僕らは言葉を発することなく、室内がしーんと静まり返った。  しばらくして、突然彼女が、僕にこう告げた。 「私ね、 もうすぐ死んじゃうんだ」
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