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それから僕は、学校が終わると毎日、彼女の病室を訪れた。
今日あった事とか些細な事までいろんなことを、彼女に話しかけ、彼女はそれを楽しそうに聞いてくれた。
そして、今日も面会時間ぎりぎりまで居座り、僕は彼女に別れを告げた。
「じゃあ今日は帰るね! また、明日来るから!」
「うん」
「バイバイ」
僕が病室の扉に手をかけた時だった。
「陽汰」
「ん?何?」
名前を呼ばれ、僕は振り向いた。
「陽汰、ありがとう」
と、彼女は少し歪んだ笑顔で言った。
「どうしたの?急に」
「いつもありがとうって思って……」
「そんな、だって僕達、友達じゃないか」
僕は自分の気持ちを押し殺してそう言った。
「うん……ありがとう」
「じゃあまた明日ね」
「うん……また明日」
彼女に別れを告げ、病室から出た。
好きだとか、今の彼女には言えない。伝えたところで、お互いが辛い思いをする事になる。だから、僕は彼女への恋心を隠し、友達に徹した。
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