第五章 一期一会

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それから僕は、学校が終わると毎日、彼女の病室を訪れた。 今日あった事とか些細な事までいろんなことを、彼女に話しかけ、彼女はそれを楽しそうに聞いてくれた。 そして、今日も面会時間ぎりぎりまで居座り、僕は彼女に別れを告げた。 「じゃあ今日は帰るね! また、明日来るから!」 「うん」 「バイバイ」 僕が病室の扉に手をかけた時だった。 「陽汰」 「ん?何?」 名前を呼ばれ、僕は振り向いた。 「陽汰、ありがとう」 と、彼女は少し歪んだ笑顔で言った。 「どうしたの?急に」 「いつもありがとうって思って……」 「そんな、だって僕達、友達じゃないか」 僕は自分の気持ちを押し殺してそう言った。 「うん……ありがとう」 「じゃあまた明日ね」 「うん……また明日」 彼女に別れを告げ、病室から出た。 好きだとか、今の彼女には言えない。伝えたところで、お互いが辛い思いをする事になる。だから、僕は彼女への恋心を隠し、友達に徹した。
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