第五章 一期一会

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僕は毎日、毎日、彼女の元へと通った。 彼女は日に日に、やせ細っていき、身体も起こすことが難しくなっていった。 そんなある日。 「なあ、お前いつもめっちゃ早く帰るけどなんかあんの?」 と、友人の高志が聞いてきた。 彼女が入院してる事は、学校の先生と僕以外には知らせていなかった。なので、僕はなんと答えたらいいのか一瞬迷ってしまう。 「……えっと」 すると、別の友人が、 「そういや俺この間、病院でお前のこと見かけたけど、どっか悪いん?」 まずい、非常にまずい。僕は、頭の中をフル回転させた。まさか、病院にいるのを見られるなんて。 「お、おばあちゃんが入院しちゃってさ」 「まぢで?」 「大変だな~」 なんとか乗り切った、と僕は安堵した。
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