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第二章 始まりの音
ざわつく教室を、僕はさりげなく見渡した。
あの入学式の日、ぎりぎりで間に合うわけもなく、結局遅刻した。初日から、赤っ恥をかいた僕は、目立ってしまったおかげで、クラスメート達と親しくすることができた。
「おはよー、陽汰」
僕の前の席に座る、藤木高志が登校してきた。彼は入学式の後、教室でまっさきに僕に声をかけてくれて、友達になることができた。とても明るく気さくで、どちらかというとクラスの人気者側で、地味な僕とは正反対な性格だ。
「おはよう、高志君」
「なあ、昨日のあれ見た? すっげー面白かったよな!」
そんな会話をしながら、僕はさりげなく教室の、窓側の席を見た。今日はまだ来ていないらしい。
「おはよう、咲良ちゃん」
何人かの女子たちの声に、僕はどきりとしながら、声のするほうを見た。そこには、あの入学式の日に出会った彼女がいた。
実は、同じクラスだったのだ。
彼女の名は、宮園咲良。話しかけられた女生徒と、笑顔で挨拶していた やはり、とても可愛い。僕は高志くんと会話しながら、ちらちらと彼女を見ていた。
彼女は、第一印象とは違い、明るくはつらつとしていて、クラスの人気者だった。
それに、とてもモテる。入学式から数日たったが、彼女に告白する男子があとを絶たない。
だけど、彼女はすべて断っていた。
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