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チョコレートの裏側
魔法のチョコレート、というものがあるらしい。食べると、その人を意のままにすることができるのだそうだ。
だから、そのチョコレートを見つけた時も、思わず購入した時も、使うつもりはなかったし、こっそり捨てようと思っていたのだ。
彼女は私の親友だった。だから応援しようと思っていた。
彼女のためなら私は、身を引くつもりでいた。
けれど。
あのチョコレートを見た時に、私は自分の運命を知った。彼女が私を疎ましく思っていることを知った。
入れ替えようか、どうしようか、私は今悩んでいる。
彼女は彼に会いに行った。鞄は無造作に置かれたままだった。
私は。
私は。
この魔法のチョコレートを。
足音が聞こえる。彼女が戻ってきたのだ。
どうしよう。
どうしたらいい。
私は、まだ、迷っている。
迷って、いる。
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