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「真由美」
教室に戻った私を、陽子は心配そうに出迎えてくれた。
「……どうだった?」
彼女の机の上には、昼に交換した友チョコの山が、残らず広げられている。随分と待たせてしまったようだった。
「うん。なんとか渡せたよ」
そう告げると、陽子はほっとしたように息を吐いた。
「返事は?」
「まだ聞いてない」
「……そっか」
陽子は少しだけ目を伏せて、それから、花が咲くようににっこりと微笑んだ。
「大丈夫だよ。真由美、可愛いし、きっと上手くいくよ」
私は曖昧に頷きながら、心の中でひっそりと笑った。
上手くいく?
当たり前だ。
だって、あのチョコレートの力は。
本物なのだから……。
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