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「おいひぃ……」
私は思わずにっこりと笑顔になる。本当に美味しかった。
「良かった」
智也はホッとしたような、嬉しそうな顔をしている。
「ホント美味しいよ」
私は涙の少し塩っぽい味と、甘い彼の手作りチョコを舌でゆっくりと味わっていた。すると、智也はなんだか頬を少し赤らめて、私をしばらく見つめた後、こう言い出したのだ。
「そのチョコ、もっと美味しくなる方法があるんだ。知ってる?」
「ん……? 分かんない、どういう事?」
キョトンとする私に、彼は箱からもう1つチョコを取り出して、私の口の中に入れてきた。
「あーん」
私は口を大きく開けてそれを受け入れる。すると、彼が
「こうするんだ」
と言って私の顔に、自らの顔を近づけてきた。そして、そのまま智也の唇がまた私の唇に重なる。初めてと2回目は6年も間が空いたのに、今度は凄いハイペースだ。
彼の舌と私の舌、そして彼の作ったチョコレートが絡まり合い、私に初めての味を届けてくれている。それからしばらく、彼と私は、彼の作った世界一のチョコレートを味わったのだった―――。
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