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「くりすます」
特に予定も無いクリスマス。
テレビは街のイルミネーションの映像。
こういうの・・・いつ見たっけ?
毎年男子3人、徹夜でゲームの日。
こたつに足をつっこみ、ゲームをしていること10時間。
気づくと深夜12時。
腹がへり、車でコンビニへ。
僕は助手席に、英司は運転。
豊が後部座席。
1分もしないうちに、コンビニへ到着。
「すぐ戻るから、鍵はいいや」
と英司。
コンビニへ向かう僕達3人。
コンビニから出てきた、大学生の男女5、6人とすれ違う。
大学生達は、キャッキャ笑いながら、自分達の車に乗り込んでいく。
買い物を済まし、車に戻ると・・・
異変に気づく。
「ん? 臭くね?」
「ホントだ・・・」
「なに? この臭い」
それは生き物の「フンの臭い」
運転席の英司が言う。
「全員靴の裏みろ」
だが誰も何も付いていない。
すれ違った大学生達の笑い声が、頭をよぎる。
「さっきの奴らがイタズラで、フン入れて行ったかも?」
「ありえるな」
「探せ探せ」
こうして、匂いの元の大捜索が始まった。
運転席、異常なし、と山田。
助手席、異常なし、と僕。
後部座席の豊・・・ん?
足元で何かを発見する。
コレかな? と素手で「何か」を「つまんで」持ち上げる豊。
「ちがうか・・・」
と捨てる。
車の中にソレらしき物は見当たらず・・・。
とりあえず家に向かう1分の車内。
信じられ無いほど、臭いは強くなっていく。
やはり車内に「ナニか」ある・・・。
自宅に着き、ライトで車の中を探すと・・・。
あっと、豊が見つける。
なんと豊の靴の裏には、ビッシリとフンがついていた。
あまりにも平らで綺麗についていた為、気づかなかったのだ。
そして豊が座っていた、後部座席の足元は・・・うん・・・
クリスマスの夜、僕達は、マットについた「フン」を綺麗に洗いました。
綺麗なイルミネーションを、いつ見たのか覚えては無いけど・・・
みんなでフンを探した数分は、ハッキリと記憶に残っている・・・
僕もいつか、誰かの記憶に残れるかな?
おわり
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