第3章 レース

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第3章 レース

息子が貰ったチョコの数は計5つになった。 予想外に一つ増えてしまったものの、ルリちゃんのチョコは 完全な義理チョコなので安心である。 恋愛中の息子には悪いけど。 私が懇意にさせて貰っているグループのママたちのお子さんは、みんな男の子だった。 そのため、バレンタインデーの翌日に、ママたちの間で盛り上がる話題は、 当然、子供がチョコを何個貰ったかだった。 その日、私は少しだけ遅れていつものカフェに入った。 先にいた3人のママはすでにその話題でひとしきり盛り上がった後だった。 私が席につくと、一人のママさんがこう話しかけてきた。 「息子さん、ルリちゃんからチョコレート貰いましたよね?」 どうやらうちの息子がチョコを貰ったという明確な裏は取れているようだ。 そうでなければここまで断定的に聞いたりはしない。 「ええ、まぁ」 「ですよねぇ」 3人のママは笑顔で顔を見合わせた。 なるほど。
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