第3章 レース

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ここにいるママたちのお子さん全員が、ルリちゃんからチョコレートを貰ったようだ。 「息子さん、そのチョコ、食べました?」 一瞬、耳を疑ったが確かにそう聞かれた。 まさか、みんなチョコを食べていないのか。 「いえ、それが……。机に飾ってまして」 私がそう言うと、3人のママさんたちは一気に盛り上がった。 「そうでしょ!!」 「やっぱり!」 「ですよね!」 私の考えは当たっていた。 3人のお子さん全員が、ルリちゃんのチョコだけを食べないのだという。 「これって、どういうことなんでしょうね……」 勘の鈍い一人のママがそう言った。 「どうって、男は生まれた時から男ってことでしょう」別のママが下品に笑う。 「美人からの贈り物は、特別なんだって分かるんですかねぇ。こんなに小さいのに」と、 さらに別のママがしみじみと言うので、 「いえいえ、中島家……、いやルリちゃんが凄すぎるんですよ」と私は返した。
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