第2章 中島さん

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幼子とは思えない迫真の説得にやられ、息子を信用してみることにした。 その夜、息子は約束通りチョコレートを我慢した。 すでに4つも食べておいて我慢したとはおかしな話しだが、 とにかく約束は守ってくれた。 約束を守って食べなかったというよりは、 食べられなかったという表現の方が正しいだろうか。 息子はルリちゃんのことが好きなのだろう。 ルリちゃんもお母さんに似て、大人でも分かるくらい美人なのだから。 夫は風呂から出てきた後も、夕食を食べた後も、 コソコソと中島さんの過去について、パソコンで検索をしているし、 息子はルリちゃんのチョコを神棚に祀るがの如く、学習机の本棚に飾っている。 中島家の毒牙にかかった哀れな男二人に、さすがの私ももの悲しくなった。 これが男の性というものなのか。 それとも夫のスケベな遺伝子が息子にも伝わってしまったのだろうか。 バカ男二人女私一人の三人家族で、これからの生活がどうなっていくのか、 先が思いやられた。
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