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「あそ。じゃ、名前の通り、そこに居てくれる? 木ノ下の守くん」
何故そこでフルネーム?
くそ、バカにしてるなコイツ。
これだから馴染みのヤツは。
「はいはい、分かりましたよ、読書に夢中になって木から落ちるかもしれない誰かさんを守りましょうねー」
「バカにしてるの?」
「お互い様でしょう?」
数秒のにらみ合い。
「……時間の無駄ね」
「……そうですね」
お互いため息をついて、それぞれの読書スタイルに落ち着いた。
春麗らか、とは程遠い風の冷たさだが、誰かが近くにいるだけでさほど気にはならない。
二人だけの読書時間。
グラウンドから運動部の掛け声が聞こえてくるが、それもまた良し。
僕はこの時間が大好きだ。
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