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「んなの、当たるかよ――っ!」
貴也は、スーツの上着を持ち、闘牛士の如く、飛んできた何個もの蓋をかわした。
「ひょ――!
上手い上手い~!
流石の萩原さん!素晴らしい反射神経!」
大池 鉄平(おおいけ てっぺい)が、大喜びで手を叩く。
小柄で童顔な鉄平は、まるで玩具の"シンバルを叩く小猿"だった。
「それで……?続きは?
ゆうみの中学時代の赤っ恥……
ふうぇっふぇふぇふぇ……」
丸谷 昌美(まるたに まさみ)は、もはやトレードマークとも言って良い特徴ある笑い声を漏らし、貴也に話の続きを促した。
「そんな、赤っ恥だなんて……
皆、若い頃には色々とやってしまう物よ……
て、ゆうみちゃんは今でも全然若いけどね……二十一歳かあ……羨ましいわ」
人妻の片川 紗由理(かたかわ さゆり)は、日本酒を徳利で色っぽい仕草でちびちび飲む。
「まあまあ、ゆうみ君、そんな怖い顔をしてないで、ビールをもっと飲みなさい?」
課長の茂野 六郎(しげの ろくろう)は、丸い顔でにこやかに……と言っても、課長はいつでもこういう顔をしているのだけど……
ゆうみのご機嫌を直そうと、これまた課長のトレードマークの超早口で喋りながらビールの口をグラスに傾けて注いでくる。
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