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「ありがとうございます……あっ!課長もどうぞ」
ゆうみは、茂野の前にあるほぼ空のグラスにビールを注いだ。
「お――いゆうみ――っ!
貴也様にも酒をつげ――!」
貴也は、長い腕を蝶々が舞うみたいにヒラヒラさせ、ゆうみをからかう。
ゆうみがイラッとして睨むと、貴也は明後日の方向を向いた。
「ふ――ん、そんな態度とっていいのかよ?
お前のこっぱずかしい黒い歴史を、商品開発課の皆様に披露するのを止めといてあげようかな~て思ったんだけど」
「え――!なになにっそれ――!聞きたいよ~」
大池が地団駄を踏んだ。
「こ――ら、落ち着きなさいよ……
結婚を控えている大人の男性がする振る舞いじゃないわよ?」
紗由理に諭され、大池がシュンとなる。
昌美は、不満そうに口を尖らせた。
「なんか……くれ騙しされたみたいな気分……
すっきりしな――い……ドゥルッドゥルドゥル」
昌美は、得意の奇妙な呻き声を上げた。
言葉で表現出来ない気持ちをこういう形にするのが癖なのだ。
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