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「そーですよね?やっぱり、聞きたいですよね?」
貴也は、形の良い唇の端を上げて魅惑的に笑った。
ゆうみは、課長に注いで貰ったビールを飲みながら、苦々しい気持ちで彼を見た。
貴也とは、自分の記憶が無いぐらい小さな頃からの付き合いだ。
親達が仲が良く、マンションの隣同士だったりする。
幼い頃から中学生まで、当然の様にゆうみは貴也の部屋へ出入りして、一緒に勉強したりお喋りしたり喧嘩したりしていた。
高校生になった途端、貴也が素っ気なくなり、何となくゆうみも部屋に行かなくなっていた。
マンションのエントランスやエレベーターで鉢合わせる時には、貴也はいつも違う女の子を連れていたのだ。
背も高いし、スポーツも勉強も出来るし顔もまあ悪くないから、昔からモテていた。
女の子をちぎっては投げちぎっては投げ……
(ろくでもない奴だわね! )
ゆうみは、腹の中で毒づいて、女性陣に愛想を振り撒く貴也の背中に頭突きを決めてやった。
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