479人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
あー、でも、ちょっと待て?
少し落ち着け、俺。
冷静に考えたらさ、あんなケーキを、あんな男が作れるわけねーじゃん。
見た目、売りモンそのままだったよ?
「頑張って作った」とか言ってたけど、よくよく考えてみ?
そこに主語はなかったじゃん?
俺が勝手に鹿島が作ったと思ってただけで、実は鹿島のねーちゃんか妹が作ったモンって可能性も十分あるんじゃねーの?
だって年イチのこの日の為にめちゃ気合い入れて作ったモンなら、あの出来映えとか有りだろ。
んでもって、失敗作を食べていいよー。なんて言われた鹿島が、間違えて本命の分を持って来ちまったとか。
ああ、うん。
これだ。
これしかない。
食べきれないほどの失敗作を、あいつは配り歩いてたというわけだ。
で、間違えて持ってきた本命分がたまたま俺に渡されたという話ね。
あー、はいはい。
これで納得したわ。
ほんと、おかしいと思ったんだよねー。
俺が鹿島に好かれる理由なんて思い浮かばねーし。
俺も部活の後輩の一人としか認識してねーし。
つか、ほんとバ鹿島だよな。
差し入れ持って来るにしても今日じゃなくてもいいだろ。
バレンタインにこんなモン渡すから、俺がこんな目にあってんじゃねーか。
…でも、
いや、あり得ねーけど、万が一にでもさ、
あれが、
あれが、
俺宛てだったとしたら?
最初のコメントを投稿しよう!