ファースト アタック①

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あー、でも、ちょっと待て? 少し落ち着け、俺。 冷静に考えたらさ、あんなケーキを、あんな男が作れるわけねーじゃん。 見た目、売りモンそのままだったよ? 「頑張って作った」とか言ってたけど、よくよく考えてみ? そこに主語はなかったじゃん? 俺が勝手に鹿島が作ったと思ってただけで、実は鹿島のねーちゃんか妹が作ったモンって可能性も十分あるんじゃねーの? だって年イチのこの日の為にめちゃ気合い入れて作ったモンなら、あの出来映えとか有りだろ。 んでもって、失敗作を食べていいよー。なんて言われた鹿島が、間違えて本命の分を持って来ちまったとか。 ああ、うん。 これだ。 これしかない。 食べきれないほどの失敗作を、あいつは配り歩いてたというわけだ。 で、間違えて持ってきた本命分がたまたま俺に渡されたという話ね。 あー、はいはい。 これで納得したわ。 ほんと、おかしいと思ったんだよねー。 俺が鹿島に好かれる理由なんて思い浮かばねーし。 俺も部活の後輩の一人としか認識してねーし。 つか、ほんとバ鹿島だよな。 差し入れ持って来るにしても今日じゃなくてもいいだろ。 バレンタインにこんなモン渡すから、俺がこんな目にあってんじゃねーか。 …でも、 いや、あり得ねーけど、万が一にでもさ、 あれが、 あれが、 俺宛てだったとしたら?
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