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「…ったく!それにしても!」
と…
不意に、私の胸の内にフツフツと怒りが込み上げてきた!
「誰のおかげで毎日、こんなに忙しいんだかっ!
あのパワハラ上司が!コピーぐらい自分で取れってのよ!」
実は…
私の今の職場の上司、桂木は何かと言うと、自分では全く動こうとせず、すぐ周りの人間をアゴで使う。
私だって自分の仕事で忙しいって言うのに!
お茶くみだのコピー取りだの平気な顔をして当然の様に命じてくるのだ!
ただでさえ忙しいのに、迷惑この上ない!!
その上!
私を含めた職場の女性軍は皆一様に、桂木から大なり小なりのセクハラ行為を受けた経験が有った!
しかし…
桂木は上の人間に対してはペコペコと頭を下げ、ゴマをすりまくっていて、信じられない事に上からは高評価な人物らしい。
その一方で、桂木は人事面など、様々な方面に絶大なるチカラを持っていた。
彼に少しでも逆らおうものなら、男でも女でも何らかのパワハラを受ける。
(信じられない事に、場合によっては地方の職場に飛ばされる事だって有るのだ!)
桂木に一度、目を付けられたが最後、何かにつけ仕事の『アラ』を見付けられ、いつまでもネチネチとイヤミを言い続けられる事も有る。
それが原因で、精神的に追い込まれて退職してしまった同僚だって何人かいるのだ!
当然、桂木は職場では一番の嫌われ者である。
私は…あのサイテー上司に文句の一つも言ってやりたかった…。
のだが、どうしても彼の『報復』が怖くて言い出せないでいる…。
そして、それは他の同僚達とて同様みたいだ。
誰一人として桂木に『物申す』人間は、いなかった。
「あぁ…。
私に『勇気』が有れば…」
私は、いつもそう考えている。
私に勇気が有れば…。
ああ、勇気が欲しいなぁ……。
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