3.

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叶多が目を丸くしているうちに高橋は席を立って、昂月の向こうにいる高弥の隣へと異動した。 にこやかな高橋と対照的に、高弥はいかにも迷惑そうな顔をしている。 それはいつものことであり、高橋はめげることなく、昂月を巻きこみ、三人で話しだした。 何があったのか知らないけれど、叶多からしてみればこの三人の組み合わせのほうが不思議だ。 「戒斗、バレてる!」 「さすが、だな」 「あたしのことはともかく、有吏のことは?」 叶多は声を潜めた。 戒斗は深刻さも慌てる様子もない。 それどころか、笑った。 「包囲網だ」 「包囲網?」 「護(マモ)るためには譲歩も必要になる。自分の眼を過信してるつもりはないし、慎重に築いてるってとこだ」 「そう?」 叶多は訳がわからないまま確かめた。
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