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叶多が目を丸くしているうちに高橋は席を立って、昂月の向こうにいる高弥の隣へと異動した。
にこやかな高橋と対照的に、高弥はいかにも迷惑そうな顔をしている。
それはいつものことであり、高橋はめげることなく、昂月を巻きこみ、三人で話しだした。
何があったのか知らないけれど、叶多からしてみればこの三人の組み合わせのほうが不思議だ。
「戒斗、バレてる!」
「さすが、だな」
「あたしのことはともかく、有吏のことは?」
叶多は声を潜めた。
戒斗は深刻さも慌てる様子もない。
それどころか、笑った。
「包囲網だ」
「包囲網?」
「護(マモ)るためには譲歩も必要になる。自分の眼を過信してるつもりはないし、慎重に築いてるってとこだ」
「そう?」
叶多は訳がわからないまま確かめた。
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