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「だって、おばさんから云われて断れる? 不思議なんだけど、おばさんて人を従わせるコツを得てるっていうか、そうしないといけない気にさせられちゃうの」
「はっ。ま、確かに母さんの“なんとなく命令”には父さんでさえ逆らってないからな。そうなのかもしれない」
「それって、おばさんが上家だからかな」
「上家?」
戒斗は意外そうな顔をして叶多を見下ろした。
「違うの? ずっとまえに慧に大雀って名前のルーツを訊いたことあって忘れてたんだけど、ライヴのときに教えてもらった。大雀天皇というか仁徳天皇? 大雀っていったら、そこしかないんだって。一人が二人とか、二人で一人とかっていう説あるって云ってたけど」
「へぇ、慧ちゃん、けっこう調べたらしいな」
「合ってる?」
「大雀家が上家っていうのは合ってる。ただ、一人が二人とかいうやつはどんな説も意味がない」
「どうして?」
「云っただろ、偶像だって。大雀家がそれを一手に引き受けて、死とか病気とか、その都度、大雀家内で継承されたにすぎない。つまり、大雀家は有吏一族の分家と云える」
「それがどうして二つに分かれたの?」
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