ギリギリの恐怖

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「おぉ! かなりの人数が集まったな!」  一通り場を見渡して満足そうに一人の少年が言う。 「かなり、と言うか、ほぼクラス全員じゃない?」  隣に立つ少女が、先ほどの少年の言葉に呼応するように話す。二人の様子は、親しげだ。  ほぼクラス全員も何も、今後の学生生活すら左右するこの非公式なイベントに参加しないのは、目の前に待ち受ける三年間を棒に振る行為に等しい。  かくいう俺も、嫌々ながらもこの場に集まった一人だ。  事の発端は数時間前。俺が進学した高校の、入学式での事。学校長が挨拶の締めに、旧校舎へは絶対に立ち入らないようにと念を押したのが始まりだ。  入学式後、これから高校生活を共にする真新しい仲間たちで、新品のコミュニティーを作り始めている時、一人の男子生徒が教室中に響く声で言い放った言葉。  全員で旧校舎に行こうぜ。  これが全ての始まりだ。  学校が終わり、学校に人気もなくなった夜更け、今日知り合ったクラスの大半が男子生徒の言葉に呼応して集まった。  新しい学校生活を前に浮かれていた事と、友人を作るチャンスであり、これに参加しないということは、ぼっち路線まっしぐらであると全員が思ったからであろう。
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