花見前線

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「お前たち、すぐにブルーシートをひき直すぞ。急げ!」 「はい!」  私が新兵たちに指示をすると、勢いのいい返事とブルーシートを持って颯爽にひきにいく新兵たちの姿があった。それに満足していると、斉藤が話しかけてくる。 「んじゃー俺、そろそろ会社に戻るわ。また何かあったときは呼んでくれ」 「ありがとうございました。斉藤さん」  斉藤さんは歩きながら背中を見せて手を挙げて応える。まさか、去年ここで捕まえた無害の毛虫の子孫が役に立つとはな。そう思いながら新しくひかれたブルーシートに座った。 「先輩。今日はありがとうございました。俺たちのミスのせいで……」 「気にするな。初陣は誰でも失敗するものだ。大切なのは失敗したときに全力でやることだ」 「はい!分かりました先輩」  
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