花見前線

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「先輩、課長にあんなこと言って大丈夫ですか?」 「大丈夫だ。こんな時に備えて突然の団体客に対応してくれる店を多く知っている。雨に関しては課長はこっちの振り具合を知らないし、降っていてもそこまで問題じゃない」  新兵たちを不安に思わせてしまうのは申し訳ないが、だがまだ諦めるわけにはいかない。最後の瞬間まで我々はこの地を死守しなくてはならない。それがこの任についた最後の意地だ。  それから雨は降り続きとうとう我々に最終審判が下されようとしていた。断続的に降り続く小雨の音と逸脱するように着信音が鳴り響く。それにすぐに出ると全てを裏切るような内容が待っていた。 「はい、課長。私です。えっ、花見は中止。店を探すようにって、そんな課長。必ずやみますからもう少し待って下さい。お願いします」
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