花見前線

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「はい。わかりました……はい。今から撤退の準備をはじめ……」  課長からダメだと言われた。上官がダメだと言ったら部下はそれに従わなくてはならない。私が無理やり自分の中で納得しようとしたとき、横からスマホを横取りされた。 「課長。是非、俺たちの踊りを見て欲しいんです」 「桜をバックに華麗に踊る俺たちを見て下さい。課長。お願いします」  新兵たちが思い思いの言葉で課長に向かって刃向かってる。私が社会に出て忘れていた仕事を何があっても完遂することを思い出させてくれた。新兵に先を取られるとは私が先頭をきらなければ! 「課長!お願いします。もう少しだけ待って下さい」  それを言うと、しぶしぶ課長は6時まで待ってくれることになった。その時までにやまなければ今度こそ花見は中止。最後は祈るしかない。 「新兵たち、よくここまで戦ってくれた。私はお前たちを誇りに思う。結果どうなるか分からないが最後まで私と戦ってくれ」 「はい、先輩」
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