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「先輩、そろそろですね」
もうあと2分で6時になる。だが、雨がやむことはなく相変わらず降り続ける。最後の奇跡が起こることを待つしかない。そして、とうとう6時になってしまった。もうダメ……
「もしもし、課長ですか。もうやんだので花見出来ますよ。ええ、ほんと降ってませんからね」
我々は声の方向に視線を向けるとそこには斉藤さんがケータイで話していた。そして通話を切ってこちらに向かって歩いてきた。
「これで俺も同罪だ。あと30分以内にやむことを祈ろうぜ」
斉藤さんがビニールシートには座らず傘を差して立っていた。斉藤さんのファインプレイに救われて我々は下がっていた士気が上がった。
「斉藤さん!ありがとうございます」
「いいってことよ。さあ、最後まで戦おうや」
我々がお礼を言うと、斉藤さんは持ち前の気前の良さで返してくる。予想外の延長戦で雨がやむのを待ち続けた。そしてそれに報いるように雨がやんだ。
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