花見前線

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「先輩、すごいですね」  二人が立ち去るのと入れ違いに新兵たちがのこのこと来た。新兵たちにやや目くじらを立てたがそれはすぐにやめた。 「このくらい当たり前だ。契約を取るためには簡単に諦めたらだめだ」  それを聞くなり新兵たちは納得のいかなさそうな顔をしていた。まあ、新兵にはまだ現実の厳しさは分かってないのだろう。現実の営業の厳しさを…… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ちがう。そうじゃない!」 「先輩、もう勘弁して下さいよ~」  初日の夜、我々は花見の出し物を練習していた。周りは花見で宴会をしている人ばかりで、所々笑い声や音程が外れた歌が聞きえる。 「何を恥ずかしそうにしている。もっと堂々としないとダメだぞ」 「だって、こんなに多くの人がいて見られてるんじゃないか気になって……」  新兵Aがもじもじしていると、新兵Bはやりきれない気持ちをぶつけてきた。 「こんなに真面目にやる必要あるんですか?周りだって、こんなに真面目にやってませんよ」
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