準決勝

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準決勝

 そして準決勝が始まった。  準決勝の相手も福島から参戦のA級だったが、俺は負ける気がしなかった。  1セット目から入れまくり、一気にスコアを3‐0にする。 (もう勝った!後は決勝のみ!)  そう考えていた。  が…ここから負の連鎖が始まった。  ビリヤードの試合は、準決勝から一気にギャラリーが増える。  既に50人からの人間が負けていて、それがたった2つのテーブルに視線を注いでいるのだ。  勝ちを確信した瞬間、その視線が気になり出した。  自分で言うのもなんだが、別人のように球が入らない。  ミス連発でスコアは、3‐1…3‐2…そして3‐3と、とうとう同点にされる。  訳が解らない。  ギャラリーの視線と歓声がウザイ。  変な汗が大量に出てくる。  7セット目を何とか取って、スコアを4‐3にするものの、結局再び追い付かれ、スコアカウントは4‐4のフルセットに持ち込まれる。 『平野君!落ち着けって!』 『リラックスしろ!』  なんて…仲間から声が掛かるが、それすら他人に言っているような感覚で聞こえてきて…  完全にパニックになっていた。
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