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最終セットは相手ブレイク…
1番…2番…4番と、球が1つ1つテーブルから消えて行く。
(嘘だろ…このまま負けるのか?)
ビリヤードの試合は、相手がミスするまで何も出来ない。
ただ、黙って相手のミスを待つしかない。
椅子に座りひたすら自分の番を待っていると、自分の心臓の鼓動が聞こえる。
手にベットリと汗が滲み出ているのに気付く。
動いてもいないのに呼吸が荒くなる。
そうして、ただ黙って…ひたすら我慢して自分の番を待っていると、とうとう相手がミスをする。
5番ボール…しかもチャンスボールだ。
残りはたった5つ…
俺は椅子から立ち上がり、慎重にボールを落とし始めた。
5番…6番…7番と…
『はぁ…はぁ…』
(後2つ…8番をあそこに入れて、9番があそこだから、2クッション入れて…)
そう考えながら構えを取り、手玉を撞く。
…が…
『あ!』
『嘘だろ!?』
ギャラリーから歓声と悲鳴が上がる。
8番ボールは僅かにポケットから外れ…
相手に大チャンスボールが残った。
俺は数秒立ちすくみ、テーブルを見詰めていた。
(あんな球外すなんて…)
自分で自分が信じられない。
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