準決勝

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 対戦相手が椅子から立ち上がり、テーブルに近付いて来た為、テーブルを明け渡す。  そのまま椅子に座ると、呆然と残りの配置を眺めた。  8番と手玉はコーナーポケットに一直線…  9番は反対の短クッション側…コーナーポケットに20㎝程度の位置… (駄目だ…負けた…)  ただただ呆然とそう思って相手のプレーを待っていた。  待っている。  待って…  (何を…)  相手がなかなか撞かない。  考えている…  苦悶の表情で配置を見詰めている。 (あんな球に何を考えて…あ!)  相手が時間を使ってくれたおかげで、ようやく気付く。  8番と手玉は、コーナーポケットに一直線…一直線過ぎて【振り】が無い。  あの位置からだと、押し玉は使えない。真っ直ぐ押したら、そのままスクラッチだ。  なら引き玉か?と言うと、引き玉では距離がある上、引いても9番への角度がきつくなるだけ…  つまり、※ポジションプレーが難しい。 (※次の玉を撞きやすいように、手玉の位置をコントロールする事)  散々悩んで、相手はようやく答えを出した。  8番に向かって構えを取る。  そして次の瞬間、その日一番の歓声が上がった。
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