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『あー!!』
会場全体から声が上がった。
相手はポケットの僅かな幅を利用し、逆捻りの押し玉でポジションプレーをしようとした。
が…
8番ボールは、ポケットの角に弾かれて、そのままバタバタと穴の中に残ってしまった。
ポケットまでは僅か数㎝…2㎝も転がれば、そのまま入ってしまう位置に…
もう、当たれば入る位置。
今度は相手が天を仰いだ。
その表情でようやく気付く。
(ああ…相手も緊張してたんだ)と…
俺はゆっくり立ち上がり、1つ深呼吸をして、穴に残った8番と、そして最後の9番を沈めた。
『全く…ギリギリじゃねぇか。』
試合後、仲間にそう話し掛けられる。
『ねぇ…参った。』
何とか勝ったが、正にギリギリ…薄氷を踏む勝利だった。
決勝は一度死ぬような思いをした為か、さほど緊張はしなかった。
準決勝前半までの調子とはいかなかったが、それでも危なげなく勝利する事が出来た。
相手は敗者復活戦を勝ち上がって来た、1回戦の相手…群馬の関口さん。
さすがはプロ相手に結果を出して来た人だった。
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