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(おい、何だよ。寝てただけかよ。
あっ、やばい。
腹が……痛い。
っていうか解答欄にさっきから答えが『やばい』しか書いてねぇ。
これ、数学なのになぁ。
あっ、ダメだ。参りました)
私は速やかに手を上げた。
すると先生が近寄る。
「どうした?質問か?」
「お手洗いに……」
先生はさり気なく解答欄をじっと見つめる。
(やばい。
これ、怒られるパターンだ)
「やれやれ。お前、早く言えばいいのに。急いで行きな。他の生徒の解答は見るなよ」
先生にそう促される。
(よかった。この先生、いつも怒ってばかりかと思ったら優しいじゃ……って漏れる)
私は教室の後ろのドアを目指して歩き、そこから出て行った。
教室の出口には女の先生が机と椅子の間に座っていた。
「あっ、どうも」
私が小声でそう言うと先生は人差し指に口を当てた。
私はそのままトイレに向かう。
(小さい方ではなく、大きい方なんだよなぁ……)
そう思いつつ個室のトイレに入ろうと一番手前の扉に手をかけた。
すると私の手に銀の何かが取れた。
(これって……)
私は目の前の取っ手を見る。まさしくそれだった。
ドアを開けてみるが、鍵がかからない様子だった。
そのドアの下で取っ手を置いた。
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