5 微かな前触れ(続き)

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「今日は、私たちがいるから違うんじゃない?」 「でもさぁ、よくパパとかが『子供だけで遊んできなさい』とかいうから、 その間はデートじゃないの?」 「だけど、あそこは二人で乗る物のほうがいっぱいあるから、 今日は、あんまり二人っきりにはなれないじゃん」 「そっか。じゃあさ、今度は二人だけで海とかいいよね」 「海、いいぃ! 私も、行きたぁ~い」 はあ……。 もう何も言うまい、そう語る先輩の溜息が声になった。 しかし、まだ付き添いは始まったばかり。 お蔭でこの日は、それからも彼女たちのパワーにかなり振り回された。 そして、夕方を前にする頃。 楽しげにメリーゴーランドに乗る彼女たちを傍から眺めながら、 隣に立つ先輩に、ボソッと言われる。 「やっぱ、マイカに来てもらって良かったわ」
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