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「呑木の仇討ちだ。ついでにお嬢ちゃんも助けるぜ」
碇と照屋も不敵な笑みで肩を並べた。
「イヴが行く場所の見当はついている」冬馬が言った。「〔影〕が憑依しているなら、キノメア実験施設が暴走するまで〔キノメアの海〕に隠れているはずだ」
「わたくしも同行します」フリントも言った。「実験施設にある制御装置をシャットダウンするには、わたくしでないと不可能ですからね」
カルチャノイドにしてみれば、珍しく人間くさい表情で片笑みを浮かべる。自分も少女を守りたいと言っているかのようだ。
「だが十前 九よ、これは可能性の低い戦いだ」冬馬が重い声で言う。それは制御装置を停めることか、それとも生き残ることかの言及を避けた言葉だった。
「やってみないと分からないよ」きっぱりと言った。
「それでは急がないと」フリントが言葉を継ぐ。「制御装置が暴走するまで、あとわずかです」
「それも分かってる」
イチジクは闘志をみなぎらせて立ち上がると、
「その前に武器を強化してくれよ」
碇が恐怖を払拭するように勇み声で告げた。
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