18人が本棚に入れています
本棚に追加
歩を進めながら仲間を眺めると、二次元オタクの生き残りが2名、小説に造詣が深い編集者が1名、その上司でいちばん戦力外の室長が1名、それよりもマシだが武器をもたぬカルチャノイドが1体だ。戦地に赴くのに、これほど異色な取り合わせはないだろう。
かくいう自分は、最後の漫画家を自称する眼鏡っ娘ではないか。緊迫した場面でなければ吹き出しそうな面子だな、とふつふつと笑みがこぼれた。
「役立たずですよね」フリントが自嘲する。「せめて皆さんのように武器が使えれば……」
「仕方ないさ。ホログラム変異現象の要になる同一化能力を持っていないからね。
あんたには想像力が備わっていないから、逆に思考の実体であるキノメアを喰らう〔影〕に襲われないはずだよ」
「それがせめてもの救いですかね」なぜか哀しげに眉を曇らせた。
「フリントも仲間だよ」
テレーゼを救出すると名乗り出てくれたのだ。彼も大事な戦友である。無下に死なせるわけにはいかない。
「おいおい、様子が変だぜ」
碇が声をひそめて言うので見ると、遠くの回廊出口にはびこる〔捕食する影〕が奇妙だった。
最初のコメントを投稿しよう!