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揃いも揃って壁により沿い、石のように固まったまま微動だにしない。黒い節足を畳んで凍ったように、まったく動く気配が見えなかった。邪教の神殿にそびえ立つ邪神象のごとく不気味な光景だ。
「これなら楽勝じゃない」照屋がそっと呟いた。
「油断させといて一気に襲う気では?」
イチジクの脳裡に先刻の襲撃がありありと甦る。それなのに、あの時とはあきらかに様子が違うので戸惑いを隠せないでいた。
「きみたち忘れたかね」冬馬が囁く。「〔捕食する影〕に取る憑かれた収容者は、生ける屍となってサナギを守るのだよ」
なぜこの男は不吉を予言することしか言わないのか、と死神を見る眼で怪しがる。だがそれが本当だとすれば、サナギはやがて羽化して成虫になるということだ。この怪物が成虫になる姿など、想像するのも願い下げである。
「先を急ぐよ!」我知らず急いた声になった。
邪な石像が並びたつ両壁を足早に駆け抜けると、視界に東棟へと続く回廊入り口が見えてきた。 ほっとひと息ついたときに、それは突如として勃発した。
施設の端々に設置された警告灯が、いきなり赤く点滅しはじめたのだ。
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