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「冬馬ぁ……」
イチジクは自分を庇って撃たれた鳥嶋を見て、冬馬を射殺すような眼で睨んだ。
「ただ死を振り撒いただけだ。なあに、人は誰でも1つは持っているものだよ。小官はそれが多かっただけのことさ」
冬馬が肩をすくめて言うと、その背後から赤い魔女イヴと囚われのテレーゼが現れた。
「イチジク──!」
テレーゼは走ろうとするが、イヴが掴んで離さない。
「テレーゼ──!!」
叫びながら駆け寄ろうとすると、
「おっと動くなよ」
冬馬が視線も移さずにフリントを威嚇した。派手に陽動して注意をそらしている間に、イヴの手からテレーゼを救出する暗黙の作戦が見破られたのだ。
「もっとも、アンドロイドは人間の命令に従うものだがね」
「彼の言葉に間違いはありません」
フリントが含みのある表情で答えた。
「なぜこんな──」イチジクは言いかけたが、
「こんなことをしたかって?」冬馬が遮るように口を挟んだ。「イヴが準備をしている間に、小官をここに案内してもらうためさ」
「なんのために?」
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