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大学卒業して１０年余り
まだ仕事のコツを覚えたばかりで給与も高くなかった俺にはローンの支払いもあり
給与の殆どは返済に充てていたから、貯金も無かった。
そんな俺に残されたのが退職一時金なのだ。
どんなに生活を切り詰めてもアパートの家賃や生活費で毎月消えてゆく。
まるで真綿で首を絞められている状態じゃないか。
そしてまともな会社は新卒を取りたがる。
残された道は派遣だが、以前の待遇と比べれば雲泥の違いだ。
今日の面接もあまり良い感触では無かったし、暫くアルバイトでもして凌ぐか。
そんな鬱積した気持ちが繁華街に俺の足を向けさせたのだろう。
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