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「半信半疑……いや、七割方信じたかな。黒川が嘘なんて吐くような人には思えないし、それに」
こんな少しの会話でそう判断するのは早計だろうが、志朗は自分の直感を信頼していた。
「俺も、ずっと変な感じがしてるんだ。耳鳴りがするし、頭痛もする。寒気も止まらないし、なんだか悲しい。落ち着かないんだ」
志朗が自分の直感を信じているのは、昔からそれに助けられているからだ。なんの規則性もなく、かつ不定期に襲いかかる焦燥や倦怠、ムカつき……それらを感じた場所では、決まって何か良からぬことが起こったり、もしくは既に起きていたりする。
少なからず命に直結する事件もあった。
志朗はそれを俗に言う『霊感』だと思っていたが……
「だから俺は普通の人より、不思議なことを信じやすいんだ。むしろ安心したよ。俺の頭がおかしいんだと思っていたから」
「そ、そんなこと、ないと、お、思います……」
「本当にそう思うなら、黒川の言葉も嘘じゃないってことになる」
「あ……ぅ」
夜緒は赤くなって顔を伏せる。何が恥ずかしかったのかは志朗には分からない。ただ、考えても分かりそうにないことは明白だったから、もう一つ質問を投げかけた。
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