八章 月の誘惑(後編)

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・ 「ああ…っ…いいっ…もっ…もう…お願…っ」 ルナの声に一段と甘さが増す。 シーツを掴んでいたルナの手が自分の下半身を自ら大胆にくつろげた。 「お願……きて…っ…」 「……!」 今まで聞いた事もない様な声で乞う。 艶をおびた瞳と淫美な仕草―― その手に開かれた、ぱっくりと割れた赤い果実。 熱っぽくすがるその姿にグレイの口端は微かに柔らかな笑みを含んだ。 「──…やっと…自ら主を求めたか…」 そう低く囁く声にもバリトンの艶がかかる。 グレイはルナの額にうっすらと浮かんだ逆さの十字架をさらっと血の付いた指先でなぞり上げた。 そのせいでルナの血に染まった逆さ十字の刻印が色濃くその姿を現す。 グレイは血に染まった自分の指先をルナの口に含ませると、ゆっくりと躰の重みをルナに預けた。
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