本編

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速度を10km/h程度まで落としゆっくりと進んでいたが、更に道が悪くなり、とうとう舗装すらされていない道になっていた。 (だめだこりゃ、完全に間違えてるな) Uターンする場所を探しながら進んだがまったく場所がない。 突然道路の左側にレンガ造りの門が見えた。1mくらいの幅がある結構立派な作りの門だ。豪雨で視界は相変わらず悪かったが<<泊>>という表札が辛うじて見えた。 門はあるがインターフォンは付いていないようだ。監視カメラもない。 門扉は無いのでそのまま車で入っていけそうだ。 (中でUターンさせてもらうか) 下は石畳になっているが両側は竹林で、車が1台通れるだけの幅しか無い。 敷地内の長い道を100mほど行くと巨大な石造りの建物が見えてきた。建物正面には20m程度の2つの少し高い尖塔があり窓の枠には様々な彫刻が施されている。尖塔の両翼は少なくとも100mはあると思われる二階建ての建物が伸びている。その先にも小さな尖塔がある。宮殿と呼んでもいい立派なヨーロッパ風の城だ。 (こんな立派な建物が日本にあったのか) 入り口の前には建物にふさわしくない黒のピックアップトラックが一台止まっていた。 ナンバーを見ると首都圏のもののようだ。 どうやら豪雨で同じように道に迷いここで雨宿りをさせてもらおうと思ったのであろう。     
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