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(そういうのもありかな)
エンジンを止め、コートを着ると、雨の中を小走りに玄関に近づいた。
ポーチには石の柱で支えられた屋根がありその上はバルコニーになっている。石の柱にはツル性植物が絡み、バルコニーまで達している。
柱の上部は凝った彫りが施されているが、複雑な形状のためか苔も生えている。
土砂降りの中、ポーチにたどり着き、コートについた水滴を両手で払うと、呼び鈴を鳴らそうと顔を上げた。だがそれらしい押し釦ボタンが見あたらない。正面の扉にはノッカーが付いてあるだけだった。
しかたなくノッカーを鳴らした。しばらくそのままで待ったが誰も出てくる様子がない。
もう一度ノッカーを鳴らそうとしたとき、扉には鍵がかかっていないことに気がついた。
(おじゃましま~す)
声には出さずに扉を開けた。
【ぎぃぃぃぃぃ】
少し錆びているのか立て付けが悪いのか、雰囲気にあった音とともに扉が開く。
扉を開けると大理石が敷かれた玄関ホールになっていた。ホール全体は円形で、高さ10mもあろうかという吹き抜けになっている二階にはホールを取り囲むように沿ったバルコニーになっているのであろう、手すりがついている。
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