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正面には両側から回り込むように二階の廊下に続く階段がある。正面二階の壁には主人と思われる肖像画が飾ってあり、右手には婦人、左手には恐らく娘と思われる肖像画が飾ってあった。
正面扉を入ったところから両側に廊下が伸びている。廊下にはかなり大きな窓がついているため、この悪天候にもかかわらず外の光が入って来ている。
達也の回りには水が滴り落ちていた。ポーチでコートの水滴を払い落としていたが十分ではなかったのだろう。しかし自分の回りだけである。回りを見回しても他に水が滴った跡がない。
(ピックアップトラックの人は濡れなかったのか?)
【ごめんください】
達也の声に全く反応がない。
しばらく待ってみたものの人の気配すら感じない。
(留守にしては電気を付けっぱなしっていうのも)
【すみませーん】
(どなたもいらっしゃいませんか。じゃあ勝手に雨宿りさせてもらいますか。)
椅子に座って休ませてもらおうと思ったが、ホールには椅子が置いてない。
(長椅子くらいあってもいいのに)
仕方なく休める場所を探すことにした。
ホールから右手に伸びた廊下を行くと、すぐに扉があった。扉には”第三図書室”とプレートが掲げられた。
(第三って図書室多すぎだろ。)
達也は綺麗に磨かれ曇りのない真鍮の取っ手を握り、ゆっくりと右に回す。
(おじゃましま~す)
部屋には電気がついていた。
(もったいないなぁ、誰も居ないのに。)
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