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振り向いたが何もいない。両側に伸びる廊下に交互に見たが、何もいない。
振り返っている間にもノブだけは回していたが状況は変わらなかった。
達也は一歩下がると脚を振り上げ、扉を蹴破ろうとした。
【ガツッ】
音は響いたが扉はびくともしない。蹴った衝撃で骨が痺れている感じだった。
もう一発蹴ってみたが最初の威力よりも落ちていた。もちろん扉は開かない。
(閉じ込められたのか)
いや廊下には窓がある。図書室の前の窓に近づき開けようとした。しかし窓ははめ込み式になっていて、開かない。
(なら割るまでだ。)
図書室から椅子を持ち出してきて窓に思い切りぶつけた。
【バキッ】
達也が期待した音はしなかった。木片となった椅子を見下ろしていた。
(くそっ)
隣のそのまた隣の窓も調べてみたが、同じ作りをしていて壊せそうになかった。
その先も調べようと一歩踏み出したが、そこから足が動かなくなった。
あのキグルミがいるかもしれない。そう思うと足が進まないのだ。
なんとか2,3歩後退ることができた。
まずは警察に連絡しないと、とポケットからスマホを取り出そうとして思い出した。スマホはカーナビ代わりに車にセットしたままだった。
(ああ、もう)
(仕方ない。外へ出られる場所を探すか)
まず近場の図書室を調べることにした。
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