サンドイッチで朝食を

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 千草はただただ呆然としていた。  今彼女は……いや、彼女たちは、と言ったほうがいいだろう。  会社近くの公園で、二人仲良く肩を並べ、ベンチに座っていた。  千草は初夏の気持ちいい風と、昇りたての黄色い日差しに、思わず深呼吸した……くはならなかった。  きっと一人で朝の散歩に出かければ、他にこんな気持ちのいい朝はないと、清々しく感じていただろう。  しかし今の彼女にはそう思えない理由があった。  隣で爽やかな笑顔を浮かべている、千草にとっての悩みの種がいたからだった。 「あの、専務?何故私たちはこのような場所にいるんでしょうか。しかも……サンドイッチを持って……」  千草の手には、なんとも美味しそうなスモークサーモンとクリームチーズを挟んだベーグルサンド。  引きずられるようにこの公園に連れてこられる途中、専務行きつけのパン屋で買ってもらったものだ。  その際、お金を出す出さないで揉めたのだが、結局上司命令が下され、あっけなく千草は負けてしまった。
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