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崩れそうになる表情を誤魔化すように、手にしていたベーグルサンドを一口かじろうとする。
が、何かを思い出したようにぴたっと止まった。
そして隣に座る背の高い馨をちらっと見上げ、いただきます。と小さく呟いた。
「はい、どうぞ」
何か面白いものを観察しているかのような、馨の視線に居心地の悪さを感じつつ、千草は今度こそベーグルサンドに口をつけた。
「……おいしい」
思わずこぼれた感想に、横でよかったと笑う馨。
千草はそれに、さらにむず痒い感覚を覚えた。
「それにしても、塚本さん髪の色綺麗だね。いつも髪を束ねてるから、室内じゃ気がつかなかった」
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