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あの朝から千草は今まで以上に仕事にのめり込み、必要以上に馨に近づくことはしなくなった。
何かに脅えるように。
一方馨もいつも以上にガードが固くなってしまった千草にどう接していいのかわからなくなっていた。
あの花は幻だったのではないかと思ってしまうほどに、今の千草は隙のない仕事人間になっていた。
先ほども資料を渡す際に手が触れただけなのに、千草は表情を硬くして逃げるように部屋を出て行ってしまった。
「はあ」
ため息もつきたくなる。
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