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少し露骨で失礼な態度だったかもしれないと、千草は秘書室への道すがら小さく息を吐いた。
あの朝から、どうしてもうまくいつもの仕事モードの自分へ切り替えができず、それを取り繕うために馨に対して警戒心むき出しの過剰な態度で接してしまう。
千草自身それが不自然なことであるとわかっていたし、馨に不審がられていることも十分に理解していた。
しかし、それでも千草にはそうしなければならない理由があった。
今度は深いため息が口から漏れ出てしまった。
「千草ちゃん?」
どきりと胸が跳ね上がる。
この会社でそんな呼ばれ方をされるなんてありえないことっだったので、千草は驚き、慌てて振り返った。
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