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 含みのある相槌を打ったかと思った数秒後。銀髪の人の手がいきなり僕のポケットに伸びてきて、しまっておいたスマートフォンを引っ張り出した。 「や、やめてください!」  咄嗟に取り返そうとしたが、銀髪の人はスマートフォンを高々と掲げる。背の低い僕は背伸びをしても辛うじて銀髪の人の手首に届くくらいで、さらに高いところにあるスマートフォンには触れることもできなかった。 「返してください!」 「おっ、君おっきい声も出るんだね~。」 感心したように呟きながら、銀髪の人は画面に視線をやる。 ―――どうか見ないで……!  無駄なことだとは分かっていてもそう願わずにはいられない。そしてその願いは当たり前のように打ち破られた。  スマートフォンの画面は「通話中」の表示。通話時間は僕が声をかけてからの時間とほぼ同じ。それをじっと見つめ、銀髪に人は何も言わない。その沈黙が心底怖かった。息をするのもはばかられて、僕はできるだけ小さく小刻みに息を吸う。  僕のスマートフォンが銀髪に人の手に渡ったことは、どうやら僕らの様子を見ていた三人も気づいたらしい。横目で盗み見ると、彼らは大慌てでその場を立ち去ろうとしていた。ところが、それよりも早く銀髪の人がスマートフォンを耳にあて、朗らかに話しだす。 「お前らそこ離れたらぶっ飛ばすぞ~。」  楽しげで軽快な声色とは裏腹に、言葉の内容は物騒だった。三人はびくっと体を震わせ、顔を見合わせる。その様子を確かめた銀髪の人は通話終了のボタンを押し、僕にスマートフォンを返してくる。そして僕の手を掴んだ。 「行くよ。」 ―――行くって、どこに?  そんなふうに聞き返す間もなく、銀髪の人は三人組のところに僕を連れて行った。三人は逃げ出すか留まるか迷った挙句、結論が出る前に銀髪の人に捕まってしまったようで、僕を憎々しげに睨んでいた。 「なにしてたのー?」  そう尋ねられた三人組は互いに返答役を押し付けあうかのように肘で小突きあっていた。結局、一番立場が弱いやつが前に押し出され、銀髪に人に答える。 「べつに、ちょっとダチ同士で遊んでただけですけど。」 「ダチ同士って、誰と誰?」 「っ、俺らと、そいつです。」  僕を指差したやつは、間髪入れずに言った。 「そいつの発案なんすよ。」
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